応募総数と選考について

生涯で1000以上もの作品を
生みだした星新一。
その中には、理系的な発想力によって
つくられた物語が数多くあります。
「理系文学」ともいえるそれらの作品は、
文学としての価値のみならず、
現実の科学をも強烈に刺激してきました。
すぐれた発想は、
いまもまだ読み手の心をくすぐり、次なる発想を生みだしているのです。
今、日本に必要なのはこの圧倒的想像力。
我々は「理系文学」を土俵に、
アイデアとその先にある物語を競う賞、
日経「星新一賞」を開催します。
51年 神奈川県生まれ、東海大学卒業。77年「奇想天外」誌よりデビュー。以後、〈キマイラ吼〉〈魔獣狩り〉〈闇狩り師〉〈餓狼伝〉〈陰陽師〉シリーズ等を発表。89年『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞を受賞、98年『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞を受賞。11年に『大江戸釣客伝』が第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、12年に吉川英治文学賞を受賞。16年、絵本『ちいさな おおきな き』(山村浩二 画)で第65回小学館児童出版文学賞受賞。17年、第65回菊池寛賞受賞。18年、紫綬褒章受章。
星新一は、日本にショートショートというジャンルを作りあげた作家である。
このショートショートというジャンルがあったからこそ、この形式から多くのプロ作家が誕生することができたのだろうと思う。
ぼくなどは、十代の時にはもう星新一を読みはじめて、出る本出る本全てを買いあさって読んできた。星新一の未読の新刊が手元にあるという喜びは、何ものにもかえがたかった。どこから読みはじめてもいいし、どこでやめてもいい。旅先に持って行く本として、星新一のショートショート集は、実にありがたい書であった。
そもそも、ショートショートというジャンルは、SFに限らず、ファンタジィであろうが、現代ものであろうが、どういう種類の文芸であろうが、この形式で書くことができるものである。
しかし、ショートショートとSFの相性のよさは間違いなくある。
星新一がこの世に生み出した作品の多くはSFおよびその周辺の作品であった。これは、ぼくのようなSFファンであった人間には、まことにありがたかった。
だからといって、応募作品をSFに限定する必要はまったくない。
自由な発想、自由な文体、自由なテーマで作品を書いていただきたい。
どのような作品が読めるか、今から楽しみにしているのである。
NASAジェット推進研究所 Research Technologist。マーズ2020ローバーの自動走行やエウロパ着陸機の自動サンプル採取アルゴリズムの開発の他、未来の無人探査機の自律化の研究に携わる。東京大学航空宇宙工学科学士 (2005)、マサチューセッツ工科大学修士 (2007)、同大学博士 (2012)、慶應大学理工学部助教を経て。マサチューセッツ工科大学にて博士号取得。著書に『宇宙に命はあるのか』(SB新書、2018)、『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社、2014)。2007年に短編小説『天梯』で織田作之助賞(青春賞)受賞。阪神ファン。ミーちゃんのパパ。好物はたくあんだが健康のため節制中。
Twitter: @masahiro_ono HP: http://hiroono.com/
地球人もすなる物語といふものに、私は多大な興味を持つてゐる。この文明が抱へる自己矛盾をもつとも端的に表すものだからである。
大局的に見れば、地球人文明の最大の特徴はイマジネーションの欠落である。この種族は過去1万年間休むことなく集団的殺戮を繰り返してゐる。その原因は自らを「正義」、他者を「悪」と思い込む極めてナイーヴな精神構造にある。他者の痛み、苦しみを理解するイマジネーションが少しでもあれば起き得ぬことである。さらに地球人は自らの惑星を急速に居住不可能な状態に改変してゐる。彼らの科学は気候変動の帰結を正しく理解してゐるのに、である。その原因は短期的な利益のために長期的な持続可能性を犠牲にする未熟な経済システムにある。次世代が背負ふであろふ重荷を想像するイマジネーションが少しでもあれば簡単に変へられることである。
然るに、地球人文明を微視的に観察すれば、その活動は豊かなイマジネーションに溢れてゐる。「音楽」と呼ばれる準規則的音波や「踊り」と呼ばれる物理的動作に愛、怒り、喜び、悲しみの感情を投影し伝達する。子どもたちは砂や石や小枝を風景や道具や食べ物、乗り物に見立てて遊ぶ。そして老若男女を問わず物語をする。一度も見たことのない宇宙の果てや過去、未来の事物をも想像しストーリーとして紡ぐ。このイマジネーションの豊かさは特筆に値する。
一体、地球人はイマジネーションが完全に欠如してゐるのか、或いは最もイマジネーションに溢れる種族なのか。私は未だにこの矛盾を理解できてゐない。どちらの面が勝るのか。地球人の運命は、一重にそこにかかつてゐる。皆さんの書く物語の中に、未来の希望たるイマジネーションの閃きを見ることを、私は期待してゐる。
84年東京大学理学部物理学科卒業、89年同大学院理学系研究科博士課程修了。90年神戸大学大学院自然科学研究科助手。94年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻助教授に。2008年より現職。理学博士。複雑系と人工生命をテーマに研究を続けるかたわら、アートとサイエンスの領域をつなぐ活動も精力的に行う。著書に『生命のサンドウィッチ理論』、『動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ』、『人間と機械のあいだ』(共著)など。
「ボッコちゃん」をまず思い出す。ボッコちゃんは星新一の代表的ショートショートで、僕もこの作品から星新一の世界に足を踏み入れた。ボッコちゃんは、バーにいる女の子のアンドロイドで、相手の言葉を少し変えてオウム返しに繰り返すだけ。なのに、バーではあっという間に人気ものになる。ついには一人の客が彼女に恋し、、、、そういう話しだったと思う。
未来的な星新一の世界も昨今は実現可能となってきた。たとえば石黒浩のアンドロイド・エリカやHansonロボティクスのSophieは、その容姿や受け答えにしても、ボッコちゃんを凌駕している。今はさらにその先を考える。今年の2月に発表したアンドロイド・Alter3は、石黒さんと一緒につくった半分人型の新しいアンドロイドだ。Alter3の特技はオーケストラの指揮である。しかしその指揮は不安定で、テンポの揺れがデフォルトだ。逆にそうしたものが、複雑なメトロノームとは違う人らしさを作り、指揮者になれると思っている。
いま、情動、想像性、欲望、そうしたものが人間の特権となる時代は終わろうとしている。アンドロイドも普通に情動や欲望を持つ時代。そこに星新一はどんなSFを見ただろう。そんなことを考えながら、今回の名誉ある審査委員役をお引き受けしました。
1987年東京都生まれ。日本大学藝術学部演劇学科卒業。子役として芸能活動を始め、NHK教育テレビの学校放送番組『わくわくサイエンス』(1999年)で初めてのテレビ出演。その後も、女優として数多くのテレビドラマ・映画・CMなどに出演し、ドラマ『3年B組金八先生』第6シリーズ(2001年)では学級委員の生徒役を、また映画『スウィングガールズ』(2004年)ではそれまで未経験のトロンボーンにも挑戦。そして、NHK連続テレビ小説『ファイト』(2005年)ではヒロインに抜擢される。 女優以外でも、2012年からTBSの情報バラエティ『王様のブランチ』のメインキャスターに起用され、約3年半にわたり出演するなど、活動の幅は広く、さまざまな分野で活躍中。
私は、長編小説を読むのが好きです。
ドラマチックなものが好きなのと寂しがり屋ということもあり、物語は紆余曲折あればあるほど楽しく、そして、登場人物たちと少しでも長く一緒にいたいという思いからです。
星さんの作品は、短いのに一瞬で別世界に連れて行ってくれる。最後の最後で世界がぐるんとひっくり返ってしまったような、高いところから突き落とされたような衝撃を感じます。
世界を見る視点が読む前と後で変わってしまう。普段、見ないようにしている人間の狡さや滑稽さを、本当にスマートに丁寧に差し出して見せてくれる。私は、星さんの作品に触れるたびに、人間や社会について新しい視点が増える感覚を感じています。もっともっと知りたくて、どんどん読み進めてしまう。一編ずつは短いですが、その連なりがこの世界の様々な顔を見せてくれる壮大な長編大作のように感じています。
今回、この星新一賞の審査員として携われることを大変光栄に思っています。
物語を紡ぎ、この賞に参加される皆さんのことを心から尊敬し応援しています。
そして、「もしかしたらこんな世界が?」と想像する楽しみを与えてくださることに感謝しています。
どんな世界に出会えるのか、そして、その世界に出会えた自分自身がどう変化するのか、今からとても楽しみです。
1998 年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程修了(博士(学術))。1998 年東京大学助手、2000年電気通信大学講師、准教授を経て、2015年より同大大学院情報理工学研究科教授。同大人工知能先端研究センター副センター長を兼務。人工知能学会理事。国際会議でのベストアプリケーション賞や人工知能学会論文賞など受賞多数。言葉と感性の結びつきに着目した文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)、「坂本真樹と考える どうする?人工知能時代の就職活動」(エクシア出版)、「感性情報学―オノマトペから人工知能までー」(コロナ社)などがある。オスカープロモーション所属(業務提携)。
2017年に,アイドルグループ「仮面女子」にAI(人工知能)で作詞した楽曲「電☆アドベンチャー」を提供した.「にこにこうぱうぱブルーベリー」など,不思議な表現がたくさん生まれ,話題になった.AIが創造した不思議な表現に,人間は面白さを感じたようだった.一方で,AIにアメリカ大統領についての記事を書かせるということも行った.あらかじめ学習させた文章を紡ぐような形で記事を生成したため,面白さはなかったが,作詞の場合よりは普通の文章が作られた.このように,AIに文章を作らせる試みはしてきたが,物語を作ることは難しいと理解していた.物語は,不思議さから生まれる面白さだけでなく,ストーリー展開から生まれる面白さが必要だ.特に,星新一の作品のようなユーモアのある文章をAIが生成するのは難しいだろう.しかし,もしも星新一のユーモアが理系的思考で計算されたものならば,AIはそのユーモアを学習し,計算できる日が来るのではないかとも思う.人類が誕生して以来,たくさんのアイディアが生まれてきたが,アイディアは無限の可能性がある.研究者として,自身がアイディアの泉でありたいと願うのと同時に,身震いするようなアイディアに出会えることを楽しみにしている.
最終審査はこちらの5名に加え、
日本経済新聞社 編集局編集委員
滝順一が行います。
中間審査員について
審査員による最終審査の前段階にて、
以下の方々が中間審査を行います。
一般部門
学生部門
※ 今から30年前には、携帯電話やインターネットは身近なものとして存在していませんでした。それらの事実を踏まえて、30年後の未来がどうなっているか想像してください。
ジュニア部門
※作品の応募は締め切りました。
一般部門
グランプリ( 星新一賞 )
正賞 ホシヅルトロフィー
副賞(1作品)100万円
優秀賞( 東京エレクトロン賞 )
1作品 副賞
セレストロン社製 天体望遠鏡 『NexStar 6SE』
+ 純正の天体望遠鏡用カメラT-アダプター
優秀賞( 日本精工賞 )
1作品 副賞
ハミルトン ベンチュラ(ペアウォッチ)
ベンチュラ H24411732
ベンチュラ レディ H24211732
優秀賞( 旭化成ホームズ賞 )
1作品 副賞
YAMAGIWA
フランク・ロイド・ライト
TALIESIN™ 3 (ウォルナット)
E12 クリア小丸電球Tタイプ 10W×5
高・752 巾・□210mm 3Kg
ウォルナット材 クリアマット塗装仕上
※ E12は電球の口金のサイズ
※ □は「210mm角」の意味
学生部門
グランプリ( 星新一賞 )
正賞 ホシヅルトロフィー
副賞(1作品)50万円
準グランプリ
1作品 副賞 15万円
優秀賞
1作品 副賞 5万円
ジュニア部門
グランプリ( 星新一賞 )
正賞 ホシヅルトロフィー
副賞(1作品)図書カード10万円分
ミキハウスの星新一ショートショートえほん
準グランプリ
1作品 副賞 図書カード5万円分
ミキハウスの星新一ショートショートえほん
優秀賞
副賞 図書カード3万円分
ミキハウスの星新一ショートショートえほん
全部門共通
【第7回 日経「星新一賞」における追記事項】
お問合わせ先 : 星新一賞事務局
電話・FAX番号 03-5443-0906 ( 土日祝日・年末年始を除く 10:00~18:00 )
<受賞作とは>
一般部門・学生部門・ジュニア部門において、最終審査にて選定された作品のうち、一般部門グランプリ、JBCCホールディングス賞、東京エレクトロン賞、アマダホールディングス賞、日本精工賞、旭化成ホームズ賞、スリーボンド賞、学生部門グランプリ、準グランプリ、優秀賞、ジュニア部門グランプリ、準グランプリ、優秀賞に該当した作品のことを受賞作といいます。 受賞作は、日本経済新聞本紙、日経電子版、日経の電子データ、日経「星新一賞」公式サイト等において発表する予定です。
作品の募集は締め切りました。
選考状況、
結果については、
こちらの公式ウェブサイトで
お知らせしていく予定です。
たくさんのご応募、
ありがとうございました。
1926年、星新一は当時アジア最大の製薬会社と言われた星製薬の創業者・星一の長男としてうまれました。東京大学農学部卒業後、同大学院に進学し発酵の研究をつづけましたが、24歳のときに父親が急死。大きな負債をかかえていた星製薬の社長に就任したものの、会社を人手にわたすことになりました。失意の底で途方にくれていたときに目にしたのが「日本空飛ぶ円盤研究会」を紹介する新聞記事でした。想像力の競い合いのようだったこの会合に出席したのをきっかけに、日本初のSF同人誌「宇宙塵」に参加。同誌に書いた「セキストラ」が商業誌「宝石」に転載され、1957年に作家としてデビューします。その翌年に書いた「ボッコちゃん」で自信を得て、SFショートショートのスタイルを確立。星新一は戦後の日本SF界にあらわれた初の専業作家となり、「ボッコちゃん」は1963年にアメリカの雑誌に掲載された初の日本SFとなりました。
日本SF作家クラブ初代会長。代表作に「おーい でてこーい」「きまぐれロボット」「午後の恐竜」など。1968年に作品集『妄想銀行』(および過去の業績)で日本推理作家協会賞を受賞。1969年、インターネット社会を予測した長編『声の網』を発表。1970年には、短編映画「花ともぐら」(原作:花とひみつ)がベネチア国際児童映画祭で銀賞を受賞しました。1983年に目標だったショートショート1001編を達成し作家を半引退。癌闘病後、1997年に71歳で亡くなりました。翌年、生涯にわたる功績に対して日本SF大賞特別賞が贈られています。没後も人気はおとろえず、ミリオンセラーの文庫が現在18点。香港の子供向け科学雑誌でショートショート連載、中国、韓国、台湾、インド、チェコ、ベトナム、セルビアなどで単行本出版、アメリカと韓国の教科書に作品が選ばれるなど海外でも高く評価され、2009年にはNHK「星新一ショートショート」シリーズが国際エミー賞コメディ部門の最優秀賞を受賞、2017年には韓国国立劇団による星作品8話のオムニバス公演が、東亜演劇賞の演出賞など3部門を受賞しました。
星新一公式サイト :
「 https://hoshishinichi.com/ 」
ITが企業経営への役立ちのみならず、"水や空気"のように生活や社会に無くてはならないものになってきている今、JBCCホールディングスは「夢見た未来が、はじまっている」をキーワードとして、具体的なIT活用でデジタルトランスフォーメーションを推進しています。 星新一賞は、理系文学賞としてIoTやAI、RPA等、次代の流れを常に反映しています。皆さんの"未来を見通す目"を存分に開いていただき、誰もが思い描いたことのない世界を自由に表現してください。未来を見つめ続けることが、より良い社会を創り出すと信じて・・・。
東京エレクトロン(TEL)は、IoTの普及には欠かすことのできない半導体をつくる機械である半導体製造装置事業を主軸とし、フラットパネルディスプレイ製造装置にも事業を展開しています。「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献する」という基本理念のもと、ダイナミックなグローバル市場の中で、革新的なナノテクロノジーの技術と新しい価値の創出により継続的な成長を目指しています。星新一賞では、未来の技術につながるような斬新なアイデアや、これまでの価値観を変えてしまうような新しい世界が、数多く描き出されることを楽しみにしています。
私たちアマダグループは「金属を加工する機械のメーカー」として、創業以来、常に新しい技術の創造に挑戦し、製造業の方々と常に刺激を与え合うことで世の中に貢献してまいりました。IoTを活用する「金属を加工するマシン」をいち早く市場に投入し、モノづくりに関わる世界中の皆さんの課題を解決。私たちは常に新しい技術の創造に挑戦し続けています。皆さまの「えがきたい夢」「かなえたい夢」が次の技術につながると私たちは考えています。モノづくりに生かせる未来の夢をお聞かせください。
日本精工(NSK)は、日本で最初に軸受(ベアリング)を世に送り出して以来、さまざまな製品を開発・供給し、産業の発展に大きく貢献してきました。2016年の創立100周年に制定したNSKビジョン2026「あたらしい動きをつくる。」を掲げて、社会に貢献し、持続的な成長企業となるために、今NSKグループ社員一人ひとりがあたらしい動きをつくりだそうとしています。星新一賞という小説のかたちで、柔軟な、そして圧倒的な想像力で誰も想像できなかった「あたらしい動き」をつくり出している皆さんを私たちは応援します。
敷地の個性や、周辺環境の制約、そして災害などの万一のリスク。当社の戸建住宅「へーベルハウス」は『考えよう。答はある。』というブランドスローガンのもと、日本の都市の住まいの課題に向き合い、答を出すことを諦めません。そして「考える」ことこそが、未来のものづくりをさらに豊かにすると考えています。星新一賞では、そんな未来を変える可能性を持ったとびきりのアイデアにお目に掛かれることを楽しみにしています。
第7回、星新一賞ご開催おめでとうございます。2019年4月、世界を驚かせた科学的偉業が達成されました。ブラックホールが撮影され、人類が、初めてその姿を目にすることが出来たのです。国際協力で地球上の8つの電波望遠鏡を結合させ、研究チームが世界6か所同時に記者会見を行う!まさにSF的なイベントです。アイシュタインが予見した、宇宙開闢と終焉の謎を握るブラックホールの存在は、世界中のSF作家を魅了し、無数の作品が生まれています。小松左京も「ゴルディアスの結び目」はじめ、様々な作品にそのイメージを取り込みました。無限の宇宙、悠久の時の謎に迫る人類唯一の武器は、いかなるものにも切り込めるイマジネーションです。今回の星新一賞にも、イマジネーション溢れる作品が多数寄せられると思うと、ブラックホールの姿をみるのと同じくらいワクワクします。最後に、星新一先生、筒井康隆先生、豊田有恒先生、小松左京らSF仲間が、イマジネーションの羽を自由気ままに羽ばたかせた「SF川柳傑作選」より、星先生の素晴らしい川柳をご紹介させていただきます。
星:「ブラック・ホール まさかあなたが お持ちとは」……。(笑)
小松:こりゃすげェや。(笑)
星:「ビッグ・バン スロービデオで もう一度」。(笑)
小松:アハハハハ、こりゃいいや。
小松左京ライブラリ
「星新一賞」もついに7回目、かつての受賞作を書かれた皆さん、ありがとうございました。おかげで星新一賞は稀に見る豊かな文学賞になりました。これから応募を考えている皆さんは、ぜひとも過去の受賞作を読んでみてください。必ずお気に入りのショートショートが見つかるはずです。あなたは、今考えている作品がそれらの作品よりも優れたものになるかどうか不安になっていませんか? だいじょうぶ。あなたにしか書けないショートショートが必ずあります。そんな作品と出会えることが、星新一賞を応援するわたしたちの最大の喜びです。
★「夢を書くひと」<星新一氏を囲む会>を開催していた頃、星先生から常備薬『ベンザリン』をいただいた。「いつも飲んでいる。この薬を飲むと、夜、夢を見ないんだ」と、おっしゃって笑う。それを聞いていた参加者が言う。「ベンザリンが先生の夢を食べているのですね」。「うまい考えだ。しかし、少し違うよ。夢を見ない代わりに、夢を原稿に書いているからね」と、おっしゃっているのを思い出した。星新一賞も夢がある。大きな夢を現実化する理系小説に期待しています。
第3回以降プロジェクトから作品を応募していますが、いまだ最終審査に残ることはできず、入賞までの道のりは遠いようです。人工知能にとって創造性は依然として高い壁になっていますが、引き続き星新一さんのようなショートショートが作れるように頑張っていきます。人工知能にシナリオを作らせる部分の開発を本格化させたいと思っています。
国立科学博物館は、動植物など自然史に関する標本や、科学技術の発展に関する資料を収集・保管し、それに関する調査研究を行っています。そしてそれらをもとに行う多彩な展示や学習支援活動を通じて、理系的な知識の提供だけでなく、発見や驚き、感動をあわせて提供する、「想像力の入口」でありたいと願っています。「星新一賞」をきっかけに、「理系的な知識」と「想像力」が融合された魅力的な作品が生まれ、さらにそれらの作品が今度は読者の想像力を刺激する。そういった、想像力の連鎖が起きることを期待しています。
情報処理学会は星新一賞を応援します。情報処理学会にはコンピュータやネットワーク、人工知能に始まり、音楽やゲーム、ユビキタス等幅広い分野の研究者・ 技術者が集まっています。その成果としてパソコンやインターネットそしてスマホが我々の生活を劇的に変えてきたことは皆さんご承知の通りです。そしてIT(情報技術)が社会インフラの全てを支えていると言っても過言ではありま せん。この様にして星新一さんの作品他SFで夢として描かれていたものが次々に現実のものになりました。今後生み出される新しいSF作品のなかから未来に繋げるとてつもない夢を生み出して欲しいと願っています。
人工知能学会はコンピュータ(ロボット)に人間のような知能を持たせることを目指す人工知能の研究者の集まりです。人工知能の目標となっている鉄腕アトムやHAL9000(「2001年宇宙の旅」に出てくるコンピュータ)はSFが創造したものです。われわれはそれらを現実のものとするために頑張っています。星新一賞からわれわれのさらなる魅力的な目標が生まれることを切に願っています。
「きょうの想像力があすを築く」。星新一さんのこの言葉を、世田谷文学館が2014年夏に開催した「日本SF展・SFの国」のキャッチコピーにさせていただきました。展覧会では、星さんの頭脳そのものともいえる自筆のアイデアメモなどご紹介しましたが、いずれの展示資料からも、星さんの「想像力」のとてつもないエネルギーが発せられており、私たちを圧倒しました。どうか星さんに負けない「想像力」で、選考委員の方々をあっと言わせる作品に挑んでください。応援しています。
我々、日本ロボット学会は、実用開発分野から最先端研究までロボット全般の研究開発を支援する学会です。SFとロボットは切っても切れない仲で、研究開発者の多くは、SF中の人とロボットの共存イメージから発想や夢を頂いていま す。一方、現実はかってSFが描いた世界に近づき、社会に様々なロボットが現れており、SFとロボット研究が相互に影響を与え合うようになってきていると思います。SFにもロボット研究開発にも、誰もが見たことの無いような斬新な未来を求められています。皆さんの大胆なイマジネーションに期待致します。
ロボカップでは、「21世紀半ばまでに、ヒューマノイドロボットがサッカーのチャンピオンチームと試合を行い勝利する」を目標としてロボットの研究開発を行っています。自律型ロボットがサッカーの試合を行ったり、災害現場で活躍できるロボットや一般の家庭で役に立つロボットが開発されたりしています。SFの世界で空想されたものが現実の製品として実現されているものも数多く現れています。不可能とも思える目標に近づくには日々の技術の積み重ねが必要ですが、時には大胆な発想の転換が重要な契機になる場合があります。想像の世界には不可能はありません。みなさんの斬新なアイデアに期待してます。
「理系的発想力」を発揮してつくられた物語、なんて魅力的な響きでしょうか。お茶の水女子大学は1875年に創立されて以来、理系女性教育にも力を注いできました。みずみずしい発想が、物語を通して未来への創造につながることを期待しています。それぞれの応募作品において、サイエンスのきらめきを感じとる瞬間が楽しみです。
サイエンスにおいてもっとも重要なのは、ひらめきやアイデア、驚きと知的興奮であり、その意味ではアートと同じです。教科書の勉強ばかりが重視され、優等生を大量に輩出しようとする教育システムでは、サイエンスが退屈なものになってしまいます。「星新一賞」を通して多くの人がサイエンスの面白さを再認識し、科学立国ニッポンの将来を楽しいものにしてくれることを願っています。
理系の文学賞ということで、「星新一賞」に大変期待しています。公立はこだて未来大は情報系の大学ですが,送り出す学生にはコミュニケーション能力が求められており、それを重視した教育をしています。また情報技術というのはイマジネーション次第でいくらでも面白いことができる分野です。新しい社会の在り方に関するイマジネーションを膨らませ、それを人に上手に伝えるというのが未来大の目標でもあります。理系、特に情報系の若い人達の応募が増えるよう応援して行きたいと思います。
国立高等専門学校機構では、15歳から5年間の一貫教育を行う世界に誇れるユニークな高等教育機関である高等専門学校(高専)を全国に51校設置し、地域と世界が抱える諸課題に果敢に立ち向かう、深い科学的思考に根差した創造的・実践的技術者を育成しています。理系的発想力や想像力に富む文学より、科学と夢に興味を持つ方が増えることを期待するとともに、新たな科学技術の可能性を感じさせるような作品に出会えることを楽しみにしています。
「学問のもとは、好奇心。好奇心を育てるようにしておけば、優れた人物も、自然に育ってくる。」星新一と同じ哲学で、東京工業大学は今、理系、文系の枠や細分化された学問分野の枠にはまらない、創造的破壊のできる若者を育てようと教育研究の大改革を行っています。工学に携わる研究者や学生たちが、文化や芸術を社会に発信する試みも始まっています。第7回を迎える本文学賞で星が『ちぐはぐな部品』で予言したスマートフォンのような、理系的な発想力による未来を輝かせる文学作品が生まれることを期待します。
東京造形大学は,デザインや美術の造形活動を通して社会と文化の創造と発展に寄与する人材を育成する現場です。第一回星新一賞以来、毎回の受賞作品を対象に、言葉のイマジネーションに触発されて未だ人類が見たことのない未来を映像で表現する事業に取り組み、23作品がうまれました。毎回、次年度の表彰式会場で上映するほか、星新一賞サイトからもご覧いただけます。このページ上部のメニュー「映像化プロジェクト」からご覧ください。
「日経サイエンス」は最先端の科学・技術の研究成果を広く一般向けに紹介している月刊誌です。中・高・大学生、研究者、ビジネスマンだけでなく、官公庁、教育や医療、技術開発などの現場でも幅広く読まれています。科学の進歩は社会の発展にかかせません。多くの皆様が日経「星新一賞」にチャレンジされることを願い、未来を拓くあっと驚く着眼・着想に出会えることを楽しみにしています。
東京芸術劇場は、東京都が都民のための音楽・演劇・歌劇・舞踊等の芸術文化の振興とその国際的交流を図るため、芸術文化施設です。東京都の音楽・舞台芸術を代表する「顔」として、長期的な視点に立った「芸術文化の創造発信」「人材育成・教育普及」「賑わい」「国際文化交流」のそれぞれの拠点となり、都民の皆様の期待に応えられる劇場を目指しております。「星新一賞」への参加作品が、もしかしたら、いつしかオペラや演劇、ダンス作品になるかもしれないと想像するとわくわくします。皆様の作品が私たちにどんな世界を魅せてくださるのか、心より楽しみにしています。
過去の受賞作品集6巻は、「 honto 」より無料ダウンロードできます。
「もしも…として…たら」第7回日経「星新一賞」開催にあたって
もしも一定期間心臓がとまる薬があったとして、それを大恋愛中の女の子に手渡したらどうなるか。という物語は400年以上前から存在します。そう。ロミオとジュリエット。人々を魅了してやまないこのラブストーリーも、SF的要素なしには成り立たないということなのではないでしょうか? たのしかったり悲しかったり、感心したりぶっ飛んだりする、もしもの物語を、お待ちしています。
2019年5月24日
星新一次女・星ライブラリ代表:星マリナ