ヒント

何を書けばいいか迷っている方に

物語をはじめて書くという方のために、少しだけ参考となるお話をさせてください。
「何を書けばいいのか」と書きはじめる前で止まってしまう方が多いと思います。
プロの作家でもここがいちばん難しいという方もいますから、悩んでしまうのも仕方ありません。
星新一賞では、「理系的発想力を問う」と言っていますから、素直にそこから考えはじめてみるのはいかがでしょうか。
ひとつのアプローチとして、3つのステップでの物語の作り方を紹介します。

step01

自分が研究している分野やもの、本や雑誌やウェブサイトを見て興味をいだいた理系の研究や技術を、まずは「ひとつ」選びましょう。

たとえば、生命工学や人工知能といった分野でもいいですし、ナノテクノロジーのような特定の技術にしてもいいと思います。

step02

50年後や100年後など、未来を想像してください。
その研究や技術は、どのように進歩しているでしょうか。

こちらは、不老不死が可能になった、自我を持つロボットが発明された、分子レベルであらゆるものが複製できる技術が確立されたなど、できるだけ具体的に想像するようにしてください。

step03

その未来の世界では、どんな物語が生まれるでしょうか。

たとえば、恋愛はどのように変わるか、家族のあり方はどうなるのか、といったパーソナルな変化を描くのもありです。逆に、社会のあり方の変化や、法律がどのように変わるのかなど、マクロな視点で描くのもありです。それから、それを発明した人はどんな行動をとるのか、というアプローチもあるでしょう。もちろん、これだけではありません。想像力を働かせて、自由に書いてみましょう。

これはあくまでひとつのアプローチです。物語の書き方は、これだけではありません。
星新一は、異なる2つのものを組み合わせてアイデアをつくる、ということを実践していたそうです。


星新一が見ていた未来

星新一は、ふしぎな世界の物語をたくさん作りました。作品が書かれた当時の人たちからすると、夢のような技術、もしかすると夢にも思わなかった大胆な技術が登場する物語もたくさんあります。

しかしその中には、フィクションで終わらず、後に科学技術によって実現され、今となっては私たちの生活の一部となっているものが、実は多くあるのです。空想物語だと思って読んでいると驚かされます。もちろん、星新一は予言者ではないので、どこまで技術の進歩を予知していたのかはわかりません。でも、その類まれな感性と強力なイマジネーションで、たしかに未来を捉えていたのだと思います。

こちらに一例として3作品をご紹介しますので、ぜひ、発表当時の人の気分になって読んでみてください。現在の世界と比べてみれば、未来を捉えることの参考になるはずです。

テレビシート加工 (1968年)

電子工学の技術発展によって、テレビが極薄になった「テレビシート」なるものが開発される。それが普及した世界では、身の回りのありとあらゆるものにテレビシートが貼られており、人々は様々な映像に取り囲まれた日常生活を送っている。

声の網 (1969年)

コンピューターで正確に管理されている電話網によって、人々は電話一本で最近の流行を知ることができたり、はたまた医者の診察を受けられたり、あらゆることが電話で完結させられるようになる。

ナンバー・クラブ (1973年)

自分の過去の全記録を登録できるサービスが普及した時代。その記録を書きこんだカードを持って専用の「ナンバー・クラブ」に行けば、お互いの過去の記録から共通の話題を見つけだしてくれたりする。

この他の作品など、星新一についての情報は、星新一公式サイトをご覧ください。

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